リンデンラボがセカンドライフ・サービス利用規約を更新しました。
・Updated Second Life Terms of Service – Second Life
http://community.secondlife.com/t5/Featured-News/Updated-Second-Life-Terms-of-Service/ba-p/1996185
上記ブログによると、最新のサービス利用規約では
- LindeX(セカンドライフ公式リンデンドル取引所)以外の取引所でのリンデンドル(L$)取引は、認可されておらず許可もしていないことを明らかにします。
とのこと。
このリンデンラボによる新しいサービス利用規約を受けて、早くもセカンドライフ内証券取引所CapExからアナウンスが出ていました。
・New Linden Lab Currency Policy Doesn’t Affect Capital Exchange:SL Capital Exchange Home
http://www.slcapex.com/home/story/system/7072
CapExのCEOであるSkipさんによると、この新サービス利用規約はCapExに影響はないとのこと。
ただCapEx内上場企業の中には、この規約変更により影響を受ける企業もあるかも知れず、もし影響を受ける企業があれば逐次報告するとのことです。
おそらくこの利用規約変更は、今年3月に米国財務省事務局である金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)から出されたガイドラインを受けてのものだと思われます。
主にBitcoin取引所等への影響に関するニュースが流れましたが、このガイドラインはBitcoinだけではなく、リンデンドルなどの仮想通貨も対象にしていました。
・Virtual World 株式シミュレーション ≫ 米国政府はビットコインを規制する?(The Verge記事和訳)
http://flamenco.main.jp/kabu/?p=1583
ガイドラインの仮想通貨に対する主な内容を上記ページから抜粋しておきます。
以下のBitcoinをリンデンドルに置き換えるとよいと思います。
- そのガイダンスでFinCENは、仮想通貨ユーザーは銀行秘密法のマネーロンダリング防止規則の下、マネーサービス業者(MSBs)として登録しなければならない、と明らかにしています。
FinCENによると、商品やサービスを購入するためにBitcoinを使用する人々は、心配する必要は何もないとのことです。
しかし、どんなユーザーまたはビジネスであれ、Bitcoinを他の通貨と交換する場合は、”金銭譲渡者”(一種のMSB)として資格を取得しFinCENに登録しなければいけません。
それは、Bitcoin経済が必要とする多くのプレイヤーが、法律的にはFinCENに登録しなければいけないということです。
それらには、Bitcoinが売買される取引所やBitcoin取引を手助けするBitInstantのような一般的なサービス、新しいBitcoinを生成し現金に両替する”マイナー”(採掘者)が含まれます。
上記内容ですので、当然リンデンドルを売買するセカンドライフ公式取引所LindeXもマネーサービス業者(MSBs)登録の対象となります。
もちろん、リンデンドルとBitcoin取引を行うVirWoxも登録義務を負うわけですが、VirWoxの運営元はオーストリアにある銀行およびビジネスに特化した法律事務所とのことですので、この辺の対処は心配ない、かも知れません。
というわけで、さっそく実際の新しいサービス利用規約を読んでみました。
リンデンドル取引に関する規約内容は、リンデンラボはLindeX以外でのリンデンドル取引を認可も許可もしておらず、「何らリンデンラボの関与するところのものではない」と明言することが目的と思われる内容でした。
数年前にリンデンラボから出された銀行禁止令は、セカンドライフ内での銀行に該当するサービス業務の積極的禁止でしたが、今回のLindeX以外のサードパーティーによるリンデンドル取引に関しては、セカンドライフ外業者なので「リンデンラボとは無関係」という立場を明確する規約にしたのでしょうか。
LindeX以外でのリンデンドル売買はユーザー個々がリスクを負うことになる、とも書かれていますから、リンデンラボ自体がそれらの業者を禁止したりすることはないようです。
ただ、VirWox等のリンデンドル取引所は個々に米国財務省事務局・金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)にマネーサービス業者(MSBs)として登録する義務を負っていることは確かなのだと思います。
※追記
ツイッターに日本のリンデンドル売買業者Exchange24が「セカンドライフ利用規約の改定により、第三者によるリンデンドル売買が禁止されたため、サービスを停止しました。」というツイートが流れていました。
メールでの連絡らしいですが、「禁止された」と解釈したのでしょうか。
いずれにしろ、仮想通貨であるリンデンドルやBitcoinを扱う両替所または取引所は米国財務省FinCenにMSBとして登録しなくてならないので、個人業者では登録するのは困難でしょうから今後も閉鎖する業者は出てくるのではないかと思います。
追々記
セカンドライフに特化したブログサービス・ソラマメで有名なmetabirdsさんはリンデンドル販売も行っているのですが、先ほどアナウンスが出ていました。
・metabirds(SLMaMe/Botbird) staff blog:【SL関係】リンデンドル交換についてご連絡- powered by metabirds – #sljp
http://staff.slmame.com/e1343237.html
現在リンデンラボにリンデンドル販売の可否を問い合わせ中とのこと。
リンデンラボからどのような回答が出るのか、興味深いです。
更に追記 2012.05.09
この上の記事にも追加したのですが、ここにもメモ。
VirWoxがリンデンラボの回答如何ではそのサービス継続不可能を示唆するなど、事態はかなり深刻かも知れません。
CapExのCEOはセカンドライフ・コンシェルジュに電話で「LindeX以外のリンデンドル取引所は規約違反」と伝えられたとフォーラムに投稿しています。
・New Linden Lab Currency Policy Doesn’t Affect Capital Exchange:SL Capital Exchange Forums
http://www.slcapex.com/forums/topic/general/8014
けっこう深刻っぽいですね。
セカンドライフはその通貨リンデンドルがゲーム外通貨取引も可能という面白さがあったのですが、リンデンラボの新通貨政策はFinCen対応も視野に入れたものと思われ、ゲーム外での通貨取引の道を閉ざし通貨はあくまでゲーム内閉鎖空間に留めるのが目的かも知れません。
以前よりリンデンラボは、利用規約でゲーム内通貨リンデンドルの位置づけを、ネット上の仮想通貨ではなくてあくまでゲーム内でのみ許可されるトークンだとしていました。
利用規約改定というよりも、それをより一層明確化しただけ、といえるかも知れません。