2013年3月18日時点で、FinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)は、仮想通貨を扱うある一定の人々や企業にマネーサービスビジネス(MSB)として登録することを義務づけています。
私は仮想通貨を扱っています。FinCenにMSBとして登録する必要がありますか?登録しない場合どうなりますか?
この記事は、日々の生活の中で仮想通貨を扱う人々が、以下の事柄についてより理解する助けとなることを目的としています:
1)MSBとは何か?
2)MSBとして登録する必要があるのは誰か?
3)登録しなかった場合罰則はあるのか?
MSBとは何か?
マネーサービスビジネス(MSB)とは、その顧客に様々な金銭関連業務を提供する業種です。
それは、小切手の現金化やウェスタンユニオンによる送金、請求書の支払いなどかも知れません。
米国財務省はより明確にMSBを定義しています。
MSBの定義は「その他に為替業務取扱業者(money transmitters)を含んでいる」というものです。
為替業務取扱業者とは、FinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)がMSBの定義に従い仮想通貨取引業者と管理者に提示するためのひとつの手段です:
- 「管理者または取引業者、特に為替業務取扱業者は、その個人に該当する定義により免責されない限りFinCENの規定の下ではMSBである」 (FIN-2013-G001, p1)
(※為替業務取扱業者(money transmitter):金融機関、または連邦準備銀行や連邦準備制度理事会(双方を含む)の機関として、電子資金移動ネットワークを通じて通貨や通貨建て(funds denominated currency)の資金を免許に基づき、その受入れおよび送金を業として取扱うものをいう。 civilian watchdog in japan: 米国IC3やFinCEN等によるインターネット犯罪や不動産担保ローン詐欺の最新動向報告より)
為替業務取扱業は、一般にある場所の個人から金銭を受け取り他の場所の個人に渡すことで手数料を請求します。
為替業務取扱業者の一般的な例は、ウェスタンユニオンやマネーグラム、PayPalなどです。
全般的にFinCENの規定は以下のようにかなり広いので、為替業務取扱サービスを目的とした手数料請求ビジネスに従事するいかなる個人あるいは企業であれ、為替業務取扱業者の定義に該当する可能性があります:
- 「ある個人がこのセクションに記述されるような為替業務取扱業者であるか否かは事実と取り巻く状況の問題である」
同規定では、彼の行為すべてにおいて金銭が動いているネットワークにアクセス権を与えている場合、あるいはその個人が物理的に金銭を動かしている場合、その個人は為替業務取扱業者ではないと述べています。
また、彼の行為すべてが送り主と受取人の間の手形交換所としての行為である場合、その個人は為替業務取扱業者ではありません。
これらの専門的な法律用語はすべて、誰がMSBとしてFinCenに登録する必要があるのか判断するにあたって違いを生じます。
FinCenにMSBとして登録する必要があるのは誰か?
一般的に米国政府は、FinCenにすべてのMSBが登録することを要求しています。
ビジネスをはじめてから6ヶ月以内か、または仮想通貨の場合はガイダンスが発表された2013年3月18日から6ヶ月以内に登録がなされる必要があります。
仮想通貨取引業者および発行者は登録しなくてはならない
これに関して曖昧さはありません。
仮想通貨を発行するかまたは取引するどんな企業であれ、独力またはエージェントを通してFinCenに登録しなければいけません。
リンデンラボは仮想通貨を発行しているので登録しなくてはいけないでしょう。
それには何の疑問もありません。
Mt.Goxそれ自体は、おそらくFinCenに登録する必要はありません。
FinCenの規定では、外国企業所有のMSBにエージェントを指定するよう命じてますが、Mt.GoxはアメリカにCoinLabというそれに該当するエージェントを持っています。
「仮想通貨メーカー」が例外となる可能性
為替業務取扱業者の定義により、FinCenが仮想通貨世界の人々に財務省の規定適用を決定したことは実に不幸なことです。
為替業務取扱業者の代わりに通貨取引業者の定義を使用していたら、事態をはるかに容易にしていたでしょう。
理由はここにあります。
この規定は、所定の日に1,000ドルを越える通貨取引を処理する通貨取引業者を例外とします。
これは、おそらく採掘活動から日に1,000ドル未満しか作らないほとんどのbitcoin採掘者にとって人生をより簡単にするはずでした。
問題は、FinCenが仮想通貨取引業者と管理者を通貨取引業者としてではなく、為替業務取扱業者として分類したことです。
ある人が外国為替の販売業者とみなされるためには、2ヶ国以上の通貨を交換しなければなりません。
それが法定通貨ではないため、仮想通貨はBSA(二国間通貨スワップ取極)の下では「通貨」とみなされる基準を満たしません。
したがって、仮想通貨を交換して現実の通貨を受け取る人(あるいはその逆)は、FinCenの規定の下では外国為替販売業者ではありません。 (参照:pages 5 and 6)
以前の記事で私は、何らかの理由で仮想通貨を売る人は、仮想通貨に対する既存のFinCenガイダンスの下では、取引業者か管理者とみなされる可能性があると書きました。
そういうわけで、仮想通貨での物品購入以外のどのような理由であれ、仮想通貨を売る人は誰でも為替業務取扱業者ということになります。
仮想通貨ユーザーが悪用する2、3の例外はあるかも知れません。
第一に、為替業務取扱業には顧客が必須です。
その親書の裁定のひとつで、FinCenはマネーサービスビジネス(MSB)の定義を満たすため、ビジネスは顧客または第三者にサービスを提供しなければならないと規定しました。
これは表面的には、利益のために仮想通貨を売るあらゆる人を為替業務取扱業者として分類した3月のガイダンス定義と矛盾します。
これら二つの定義が矛盾する理由は、為替業務取扱業者とはその定義により、誰か他の人の代わりに金銭送金サービスを提供するという点にあります。
ビットコイン採掘者またはリンデンドルの生産者については、リンデンドル生産者はおそらく多くの金銭は生成せず、他の誰かの代わりに金銭を送金することもありません。
このため、これは例外に該当するかも知れません。
同時に、採掘者が彼らのBitcoinをユーザーに直接売った場合、FinCenはBitcoin取引業者または他のBitcoinユーザーが採掘者の顧客であるという立場を取るかも知れません。
登録しないことが招く結果
米国の法律は、為替業務取扱業者としてビジネスの登録を怠った場合、民事・刑事両方の罰を科します。
また、この法律は無免許金銭送金ビジネス業務に対しては、特に刑事罰を科します。
- 意図して無免許での金銭送金ビジネス業務を管理、運営、監督、指示し、あるいはその一部またはそのすべてを所有して行うものは誰でも、この章に従って罰せられるか、または5年以下の懲役、またはその両者を科すものとする。
仮想通貨の為替業務取扱業者が登録するべき、法令による6ヶ月の期限が切れた時点で、政府はそれに応じない人々を起訴し始めることができます。
とはいえ、それが時間と資産のとてつもない浪費になるので、おそらく政府は小物のBitcoin採掘者を追わないでしょう。